総会資料

 

 

 

 

 

 

 

           

 

         シニアネットワーク東北

 

         ―平成21年度活動報告書−

 

      

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            平成2261日  

 

 

 

 

 

 

 

近年,地球環境,エネルギー需給問題などに対して原子力の役割が国際的に注目されている.シニアネットワーク東北(以下 SNW東北)は平成2012月に設立以来,1年有余であるが,顧問,会員各位のご協力で21年度は下記の啓蒙活動を展開することができた.

 

1.原子力技術者の技術継承にかかる調査東北放射線科学センターからの委託調査)

本件は女川原子力発電所及び東通原子力発電所の保修部門に焦点を絞り若手社員,中堅社員,管理職社員と「OJTの実施状況」を中心に対話を行い,「効果的な技術継承を行うための意識付けに係る提案」を行なった.対話で抽出された課題の事例として;

@)保修部門に「OJT実施の手引き」はあるが,この手引きに基づいたPDCAサイクルが確実に機能しているとは云い難い.

A)OJT指導者の業務多忙等により,指導が消極的になっているケースがある.

B)異動で保修部門の技術・技能の専門的知識を有する技術者が育ちにくい.

C)人材育成のための環境整備が不足している

などがあったが.職場の中でこれらの課題に対する認識が共有化されることによって,業務のなかで順次解決されることを期待している.なお,本件については報告書(別冊)を作成した.

 

2.大学生・高校生とシニアとの対話交流

対話交流活動は下記の高校,大学で行なった.

1)SNW東北の主催

(実施月日,相手校,参加学生・生徒,(教員),SNW東北,SNW(東京)の順) 

211112 秋田県立湯沢北高(女子高);40名,(5名),SNW東北;4名,SNW;1名 

1113 秋田県立湯沢商工高;70名(5名),SNW東北;6名,SNW;1

1127 宮城学院女子大学;23名(2名),SNW東北;8名,SNW;1

 H22216  東北学院大学;40名(2名),SNW東北;10名,

2)SNW連絡会(東京)との共催

21101 東北大学;48名(3名),SNW;13名,SNW東北;4

22217 八戸工大;37名(5名),SNW;10名,SNW東北;5

以上参加者は学生(教員)258名(22名),SNW東北(延べ)40名,SNW(延べ)26名であった.なお,参加したSNW東北,SNWの会員は末尾に記載の通りである.

3)対話の進め方

対話のパターンは「エネルギー,環境問題と原子力の役割」をテーマに,特に原子力については(一部校で空間線量の実測を交えて)「放射線・放射能」を焦点に,女子大では「省エネ」を加えて,SNW東北,SNW会員が基調講演を1時間30分程度行い,その後,テーマごとに数名から10名程度のグループに別れて,(一方的に何かを教えるような,特に端から原子力のPRになることは避けながら)全員参加での質疑応答や意見交換を行い,その後,各グループから感想などを発表してもらった.なお,対話に先立って,事前アンケートで参加者の関心事を把握し,また,事後アンケートで参加者の理解の程度,対話の改善点などの把握に努めた.

4)参加学生の感想(アンケート結果など)

@)秋田県湯沢北高校(女子高)

理系(看護士,介護福祉士を目指す生徒を含む)2年生40

・今まで知らなかった貴重な話を聞くことができて勉強になり,よかった.

・エネルギーについてあまり興味・関心がなかったが今回の講演で興味を持てた.

・日本のエネルギー問題についてよく分った.

・身近に放射能があることなど放射線について理解が深まった,

・(資源が有限なこと,省エネなど)新しい知識を生活の中で生かしていきたい.

A)秋田県立湯沢商工高等学校:電子機械科2学年男子70

対話のテーマを事前アンケートに基づいて「放射線関連」、「エネルギー関連」、「原子力発電関連」の3つグループに別れて対話を行った.

各グループからの報告

「エネルギー関連グループ」; エネルギーについてあらためて考えることが出来た。長年の経験による知識を知ることができた。

「放射線関連」;広島や長崎におちた爆弾の放射能のレベルはどれくらいか?は難しかった。でもとても説明が丁寧でわかりやすかった。

「原子力発電関連」;原子力発電は想像よりも良いものだった。原子力だけでなく、すべてのエネルギーをバランスよくベストミックスするということが頭に残った。

 

B)宮城学院女子大学;生活文化学科学生 23名(3年生)

事後アンケートの概要

「わが国のエネルギー問題について」

少し知っていた 95%  知っていた 5%

「わが国のエネルギー自給率が低いことについて」 ほぼ理解できた 100%

「石油など化石燃料の確保が難しくなることについて」

ほぼ理解できた  85% よくわからなかった 15%

「省エネルギー対策の必要性」         ほぼ理解できた  100%

「二酸化炭素排出の抑制の必要性」  

ほぼ理解できた  95% よくわらなかった  5%

「わが国がかなり原子力エネルギーに頼らざるを得ないことについて」

          ほぼ理解できた  85%  よくわからなかった 15%

「放射線・放射能について」

          ほぼ理解できた  75%  よくわからなかった 25%

女子学生の感想や疑問などは;

・放射線は自分の生活から遠いもの、怖いものと思っていたが、自分の身体からも出ている事がわかり、必ずしも危険でない事が理解できた。10

・原子力の様々な利点がわかり、原子力発電が必要なこと、原子力に頼らざるを得ないことが理解できた。 6

・こまめにスイッチを切ることで待機電力を削減できるなど、身近なことでも省エネルギーを実践できることがわかった。 5

・エネルギー自給率が極端に低いことなどから、太陽光や風力などの新エネルギーの利用が求められているが、設備価格が高い、大面積が必要などのディメリットもあることがわかった。 5

・二酸化炭素の25%削減の目標が実現できるのか不安である。 4

 (新エネルギーのみに頼ることができない; 3名, 外国から削減費を買わずに実現できるのか; 1名)

C)東北学院大学;電気情報工学科学生 40名(3,4年生)

事前アンケートの概要

イ)地球温暖化など環境問題について      

かなり関心がある;31.4%, ある程度関心がある;68.6%,関心がない;0%

ロ)わが国のエネルギー自給率はどの位と思うか(選択問題)

    5%57.1%   10%31.4%   20%11.4%

  原子力発電を入れた自給率はどの位か(選択問題)

    20%42.9%  30%37.1%   40%20.0%

ハ)放射線・放射能について

  ある程度知っている:11.4%,余り知らない:80.0% ,全く知らない:8.6%

ニ)興味または関心ある技術開発(エネ,環境,原子力)について

自然エネルギー利用技術46名(太陽光発電20,風力発電16,地熱発電3,波力発電2,再生可能エネ5),原子力関連技術9名(高速炉3Puーマル5, 原子力発電1),自動車関連20名(電気自動車10ハイブリットカー7,水素自動車2ソーラーカー1)その他26名(核融合炉6,燃料電池4,電力貯蔵技術(NAS電池他)3スマートグリット5,バイオメタノール4マイクロウエーブ送電1,宇宙開発3

グループ対話の結果報告;

1)「エネルギー環境」グループでは、太陽光、風力などの新エネルギーについて主に議論され、温暖化対策としては非常に優位にあるが、出力密度、効率が低いなどの問題点が明らかにされた。さらに、地球温暖化の対策としては、国同志で話し合って、全体としての意思の統一を図るべきとの意見もあった。

2)「原子力発電の仕組みと安全性」グループでは、原子力発電の安全性を中心に話し合われ、5重の壁により放射能の漏れを防いでいることがわかり、原子力発電の安全性を理解し、原子力発電のイメージが良くなったなどの感想があった。

3)「放射線と放射能」グループでは、放射線は危険であるとのイメージが払拭され、医療や農業などの分野で利用されていることがわかり、さらに原子力発電でも、通常の運転状態では人体に影響が無いことも理解できた。

4)「環境・エネルギーの技術開発」グループでは、自然エネルギーを利用した発電方式の長所、短所が議論され、太陽光発電や風力発電は出力密度や効率を改善することが必要であり、現在の技術開発では、高速増殖炉が注目されていることが話し合われた。

全体としては、今回の対話方式が好評で、予め示した自分の質問が議論され、その過程でよく理解できるようになったなどの意見が多数寄せられた。

D)「対話in東北大2009」(4回目);学生48名(M119M21B428名)

基調講演「石油ピーク後のエネルギー/エネルギー収支比から対応を考える」天野治氏(電中研上席特別契約研究員)はエネルギー収支比(EPR)の概念を中心に各種エネルギーのEPRを考察.原子力発電が最も優れたエネルギー源であることを強調。

事前アンケートに基づいて学生5〜7名が8つのグループに.別れて対話.

Gr.1;わが国における今後のエネルギー需要量の変動予測と国家間戦略

Gr.2;原子力関係の業種の現状・将来とそれぞれの業種が学生に求める能力

Gr.3;次世代炉・高速増殖炉における研究開発の現状と課題

Gr.4;種々な視点から見た核融合炉と核分裂炉の比較

Gr.5;どのようにしたら原子力をより理解してもらえるか〜原子力と社会のかかわり方

Gr.6;大学の研究活動と企業・社会のつながり

Gr.7;エネルギー収支比から考える日本の原子力発電推進の是非

Gr.8;学生に求められる能力とは?

事後アンケート;

 シニアと学生の各々に対して事後アンケートが行われ、集計された。今回は学生の司会によるファシリテータ方式がとられ、学生側は予め質問事項や対話の方向を取り纏めていたようである。これにより対話がスムーズに進められた点は評価できるが、一方,「深く踏み込んだ対話にならなかった」という批判的な意見や「今後学生とシニアの間で事前に何を望み、何を議論したいかについて意見交換し、フレキシブルに議論が出来るようでなければ、対話の開催意義が失われていくだろう。」という指摘もあった.

 

E)「対話in八戸工大2010」(4回目);学生37名(機械系15,電気電子系6、建築系3、生物化学系13

参加学生は3年生で就職活動の時期が来ており、地元で原子力関連の仕事に従事したいと希望している学生が多く.対話のテーマは、専門技術を原子力産業に如何に活かせるか、役立つかということが中心だった.学生からの質問や指摘があった点を列挙すれば、

・メディアの原子力報道の姿勢が気になる。一方的にマイナス面の報道が多い。

・サウジの原子炉建設の入札で韓国が勝っているのはなぜだろう。

・日本の原発は定期検査が平均でも3ヶ月と長いというがどうしてか。

・新エネルギーの導入に関し、日本はどんな計画を持っているのか。

・メンテナンスを通して新しい価値観を加えた新しい技術を確立していきたい。

・日本は改良技術に偏っている。新しいものに挑戦したい。

・スパコンの研究費の仕分けは人材が海外へ出て行く原因になっていないか。

などの発言があった。

講評 橋本哲夫氏(新潟大学名誉教授)

・今回もシニアの発言が多すぎたようだ。学生の発言をもっと多くしたい。

・現場を退いたシニアばかりでなく、今も現場で働いている人の参加が望まれる。学生にもっと強いインパクトを与えられるのではないか。

・学生時代、狭くても秀でた点を持ちたい。

・日本は加工貿易で生きている国なので、今後語学は必須。

5)SNW東北,SNW会員の感想

原子力発電所の現場に既に従事している新入社員,学生・生徒に共通していることは意識の差や程度の差はあるものの、原子力に対する漠然とした不安を抱いていることである.

短時間ではあるが基調講演や対話によって,知識や情報が与えられると,彼らの不安や疑問はある程度緩和ないし解消されることが実感できた.例えば,清野浩会員の実測を交えての放射線・放射能の講演に対する学生・生徒の関心は高い.また,少人数に抑えてのグループ対話は一人ひとりが納得し,理解を深めるので,家族・友人など周辺の人々への波及効果が期待でき,啓蒙方策として対話はかなり有効であると感じている.特に,女子学生・生徒との対話は将来,社会人,主婦、母親となった場合,社会や子供への影響力は極めて大きいと思われる.

もう一つの対話の意義として,双方向の交流により、シニアが苦労して築き上げてきた知識と経験を次世代に伝えることは、技術の継承に繋がることである。また,最近の若者の意識調査では、入社3年目頃から仕事に対するモティベーションが急激に低下するという報告がある.人生の先達であるシニアから有益な助言、希望等を伝えることはモティベーション向上にも繋がると思われる。

対話交流の対象をさらに開拓するとともに、定例化するため学校側との関係を密にして行く必要があるが,一方で,実現には,大学・高校関係者の理解と積極的な支援が必要である.なお,ボランティア活動のため,対象拡大は限定的にならざるを得ないが,学校側の予算措置が不要なことは実現を容易にしている.

 

女川原子力発電所における新入社員教育では,平成19年以降梅田副社長(当時,原子力部長)の英断で設けられたカリキュラムの中の,SNW,SNW東北との対話は,毎年参加の竹内哲夫会長はじめSNW会員や各電力から高く評価されている.また,対話に参加した会員は,原子力分野の新入社員の資質が極めて高いことを感じている.

 

SNW東北の活動に対し,東北電力,東北原子力懇談会およびSNW(東京)の全面的なご支援をいただいたほか,例えば,東北学院大学では石川和己准教授菊地新喜会員のご尽力,宮城学院女子大学の実現には八島俊章顧問小林智夫顧問のアドバイスと宮城学院女子大学吉崎 泰博学長小林信夫理事林 基哉教授のご支援があり,また,秋田県立湯沢商工高校,湯沢北高校(女子高)の実現には,伊藤睦SNW会員(秋田出身,元東芝),林 護一先生(元 秋田県工業高校長OB),湯沢商工高校工藤正孝校長,湯沢北高校釜田章太郎校長のご理解とご協力があり,さらに,東北大学では石井慶造,岩崎智彦教授,八戸工大では阿部勝憲教授の積極的なご支援とご指導があった.なお,女性会員漸増を期待している中で現在SNW会員約230名中女性会員は12名だけであるが,今期SNW東北も最初の女性会員(三浦康子氏)を迎え,省エネの基調講演に加わっていただいたことを付記する.

 

 

3.幹事会と勉強会

SNW(東京)は毎月第3木曜日に運営会議と講演会を開催,これにSNW東北から1名参加している.21年度の講演テーマは,「新型遠心分離機の現況」,「燃料電池の技術開発」,「原爆被爆者のがんリスク」,「柏崎・刈羽原発の耐震補強」,「技術と法」,「持続的成長への提言」,「原子力安全規制法の問題点」などであった.一方,

SNW東北は原則隔月に拡大幹事会(幹事と監事で構成)を開催したほか,「原子力と太陽光発電」(講師;新田目倖造会員),「省エネについて」(講師;東北電力宮城支店大野けい子氏),「原子力事業への取り組みと課題」(講師;東芝・電力システム社原子力事業部長岡村潔氏)をテーマに勉強会を開催した.

 

4.ホームページの開設

インターネットのホームページhttp://www1.bstream.jp/~kishipark/を開設した.開いていただくと,顧問・会員からのメッセージや関係情報など,会員のページを開くと幹事会議事録,会員メッセージ,会員名簿などにアクセスできる.

(追記)対話交流に参加した会員(敬称略,順不同)

女川原子力発電所;

(SNW東北)川村一二三,平田和也 馬場 礎,高橋弘道,中村 功,岸 昭正,菊地新喜,

菅原剛彦

(SNW)  竹内哲夫,荒井利治,益田恭尚,伊藤 睦,加藤洋明,小川博巳,林 勉,

       金氏 顕

湯沢北高;

(SNW東北)清野 浩,早坂明夫,三浦康子,菅原剛彦,

(SNW)  伊藤 睦

湯沢商工高;

(SNW東北)清野 浩,菊地新喜,早坂明夫,宮本一正,馬場 礎,菅原剛彦,

(SNW)  伊藤 睦

宮城学院女子大学

(SNW東北)清野 浩,菊地新喜,早坂明夫,新田目倖造,柴田一成,高橋謙治,三浦康子,

菅原剛彦  

(SNW)  小川博巳

東北学院大学;

(SNW東北)清野 浩,菊地新喜,早坂明夫,岡本康之,岸 昭正,高橋謙治,

       高橋弘道,平田和也,山田信行,菅原剛彦

東北大学;

(SNW); 竹内哲夫ほか12名,

(SNW東北)早坂明夫,新田目倖造,岸 昭正,柴田一成,松岡俊司,菅原剛彦,

八戸工大;

(SNW); 荒井利治ほか9名,

(SNW東北)岸 昭正,馬場 礎,山田信行,松岡俊司,菅原剛彦     (以上)